HidekiIshimoto

にごりえのHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

にごりえ(1953年製作の映画)
4.0
一作家原作のオムニバス映画ってポーとかラブクラフトとかキングとかが多いのでこんなの珍しい。三遍とも明治女性悲哀大全って感じだけど、この頃の熟練映画職人達によるセット照明美術の妙技がたまらない。久我様淡島様たまらない。なにより『十三夜』『大つごもり』『にごりえ』って各タイトルがたまらなく良い。樋口一葉作品の一覧みれば『闇桜』『うもれ木』と日本語の魅力炸裂の題名ずらり。五千円札で日頃目にしてるのに名前しか知らなかった樋口一葉。略歴みれば士族の才女なのに没落で困窮、ただ生活の為に小説書きはじめたそうな。そしてたった24歳で肺病死。それがいま高額紙幣の顔となり、使われるだけで読まれず、だとしたら切ないのでいつか読んでみよう。