ミシンそば

ペーパー・ムーンのミシンそばのレビュー・感想・評価

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
3.9
不朽の名作ではあるし、比較的円盤も入手しやすい映画ではあるが、今まで未見で、今日のBS松竹東急での放送で初鑑賞。
暖かみのある映画を描かせたら右に出る者はいないだろうと勝手に確信しているピーター・ボグダノヴィッチ監督作で、ライアン・オニールとその娘のテイタム・オニールが主演している。

テイタムが史上最年少で助演女優賞を受賞したのはあまりにも有名な話だが、煙草はガンガン吸うわ、推定父親の詐欺師の詐欺に協力したりするわ、大分「コンプラ?美味しいですか?」姿勢はニューシネマがまだまだくたばっていない時代だからやれる類の演出だろうし、今じゃ絶対に出来ない俳優魂の見せ方。
舞台が南部で、時代が大恐慌時代真っ只中って言うのも相まって、主人公らがするのは詐欺を筆頭にしたかなりガッツリ目の犯罪。
だが、って枕詞をつけることも観た時期によっては出来たかもしれんが、結局は悪銭身に付かずに行き着くからこそ成立し得た、シンプルながらも露悪的なロードムービー…なのかもしれない。

ヴェンダースの「都会のアリス」と類似点が多い(ヴェンダース本人がそのことに絶望を覚えたエピソードがある)が、どっちが好きかは完全に好みの問題だわな。
結末は明確にこっちの方が好みだけど。