浅野公喜

イキガミの浅野公喜のレビュー・感想・評価

イキガミ(2008年製作の映画)
3.5
若者の誰かを死なせる法律がまかり通る社会を描いた漫画原作のヒューマンドラマ。少し前、人が死ぬ日を描いたプロットor小説を書こうと思って似た設定の作品はないか調べたら見つけた作品でもあります(勿論書きませんでした)。

死ぬ若者一人一人を描いたオムニバス的な作風で、通告されるのは死ぬ24時間前という設定は余りにも唐突過ぎてせめて1週間前が妥当では、とそもそもの法律共々ツッコミたくなりますし、映画では結局その法律を見直したり「解決」が描かれないのが少々残念ですが、閉塞感溢れる管理社会は滑稽であるもののコロナ禍だワクチンだの騒がれる今においては妙なリアリティを感じます。印象に残るのはリコ・ナルミ演じる盲目の妹を持つ兄のタカユキ・ヤマダのエピソードで、お調子者的キャラが非情な現実に立ち向かう姿とその演技が印象に残りますし、時計を早めるアイデアで病院の看護師・患者が積極的に協力する姿勢はこの設定の社会故にその一人一人の温かさが際立ちます。

ノリコ・エグチも看護婦のチョイ役で出演。
浅野公喜

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