うに

ギルバート・グレイプのうにのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
4.3
色々な愛の形を見た気がする。
グラデーションの様な気持ちの変化。
多くは語らない映画という印象で、一つ一つの映像や台詞に含みというものが多く込められていたと思う。

兄弟とか家族とか、それ以前に彼らは人間と人間という対等な立場である。
ギルバートの強い想いとアーニーの純粋さ。
この切ろうとしても決して切れない絆に、とにかく深く感動し胸を打たれた。
しかしこの「切れない」というのがまたヤングケアラー的な深刻な要素も込めている。
母や弟のお世話や妹たちの面倒を見なければならないギルバートは自分の夢や将来を考える暇も余裕もなく人生を過ごしていた。
その中でもギルバートとアーニーが過ごす日々に僕は素直に感銘を受けたが、それはあくまで映画という大きな画面を通しての物語を一歩遠くから見ているからであって、きっと角度を少しでも変えれば見方も感じた方も全く異なるものになるのだろうと無知ながら感じた。

全体的にカットしても良い様なシーンは割とあったかなと思う。
終わりの辺りも展開が急すぎて衝撃というか、それ故少し雑にも感じてしまった。
しかし、レオ様の圧倒的な演技力と表現力に魂が震えた。
「上手」とか「自然」とかの言葉では片付けられない演技を目の当たりにし、ストーリーの細かいところは帳消しです。
とても考えさせられる良い作品だった。
うに

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