三四郎

迎春花の三四郎のレビュー・感想・評価

迎春花(1942年製作の映画)
3.9
清々しい軽快な映画だ。スケートシーンから始まり、アイスホッケーをしている!なんてモダン笑
李香蘭(山口淑子)がアイスホッケーをしていて、しかもバックスケーティングまで見せてくれる笑 驚きの連続!

冒頭から気になるのは俳優が二枚目じゃないこと笑 満映に貸し出す気がなかったのか、まぁとにかく適当な二枚目俳優がいなかったのね、松竹さん…といった感じだ笑 結果、コメディ要素も出たから良かったように思うけど。

「日本民族の運命は北にあり」かぁ。
それにしても、満州の良い宣伝映画だった!科白の中に、満州や日本の文化、風習を織り交ぜていて、両国互いのための宣伝映画であることがよくわかる。
日満の共通点を無理やり説いて、大東亜共栄圏は古来からの約束であったかのように仄めかしている。
ロシア人の習慣などは、ドキュメンタリーとして見ることができるし、現代から観ると、興味深い記録映像と言えるだろう。

内容としては、女同士の友情と自立を描いており、女性映画が得意な松竹色が出たものになっている。男を残し、木暮三千代は東京へ、李香蘭は北京へ去ってゆく、このシナリオは巧妙で実に素晴らしい。
ただ、終わり方が残念だ。
「あたし、もうじき北京へ行きますわ(微笑)さよなら」ここで去りゆく李香蘭の後ろ姿を並木道で長回しして、彼女が並木道の奥へと遠ざかってゆくシーンで「完」となれば美しかったのに…。
しかし、あらゆる意味で面白い野心的な映画だった!
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