囚人13号

蛇の道の囚人13号のレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
4.5
やーばいな。撮影が田村正毅さんでアングルを巧みに使い分け、過剰な切り返しも心理演出へ還元してしまう感覚こそ現代日本が欠いている才覚であるし、クライマックスの縦構図もジョン・オルトンみたいだ。

省略と肩透かしまで律儀に北野映画を研究してるのも良く、ではなぜ5点じゃないかと言ったらカットに生じるはずの痛み(暴力)を感じないことが決定的な差として露呈しているからで、改めてたけしの言葉「殴られたことのある奴にしか分からない痛み」の重さを痛感する。

とはいえ工場の頽廃感も密室として処理せずディープフォーカスで自由と不自由が対比される図式の暴力性に興奮するし、幽閉≒六面体空間から飛躍してテレビジョン(モニター)が恐怖装置となる着地は後のホラー作品群を示唆しているはず。

ラストの編集も尖りまくってて、この表現はあまり好きじゃないけどめちゃくちゃ90年代ぽい。清はもうこんな映画撮ってくれないのかな
囚人13号

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