空母ポンタヌフ

蛇の道の空母ポンタヌフのレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
2.8
 蛇の道のリメイク版が上映され、9月には新作が公開されるらしいので、人生初の黒沢清をYoutubeの無料公開でみました。以下、ネタバレ含む感想。
 平成生まれの若者なので、哀川翔ってバラエティに出てる人っていう認識だったのですが、物凄い存在感であった。哀川翔ありきですばらしい構図が多々あり、最近映画好きをはじめた当方からしたらかなり時代を感じる作品ではあったものの、素直にカッコいいと思うような構図も多々あった。ゴルフ場でボディバッグを引きずって逃げ回るシーンは馬鹿らしかったけど。
 違和感を感じない範囲での哀川翔の手口八丁感がスゴイ。序盤は香川照之演じる民間人の復讐に手を貸す闇の住人みたいな感じなのだが、なんか捕まえたやつが犯人じゃなかったり、復讐といえどもずっと生かしたり、溶接して捕まえる用の手錠を増やしたり、なんかよく考えるとグタグタしている。日常系復讐劇みたいな感じでなかなかオツな感じだったのだが、すべてが哀川翔の計画による復讐だったというオチが見事である。そして、加害者のくせに被害者ぶっている香川照之に対して「おまえがいちばん嫌いだ」と言い放ち、「あんたも興味あるの?」というスクリーンに問いかけて終わるシーンはなんともゾゾっとした。最後のシーケンスも、もはや哀川翔の謎の領域展開といえるよえな演出も笑える笑えないのギリギリの絶妙なもので、得体の知れなさを非常にブラッシュアップしている。
 銃撃戦がアッサリ終わったり撃たれたらどたどた逃げたり「?」となるようなシーンがあることは否定しないが、少なくとも別の作品も観たいと思わせるパワーのある作品だったことは確か。