はる

山の郵便配達のはるのレビュー・感想・評価

山の郵便配達(1999年製作の映画)
4.2
1980年代はじめ、中国湖南省西部の山岳地帯 
美しい大自然を背景に、郵便配達の仕事を引退することになった父とそれを引き継ぐ息子の、情緒が満ち溢れる物語でした。

重い荷物を背負い、往復223キロを3日かけて歩く郵便配達の仕事は危険を伴います。
息子がはじめての配達に出かける日、父は道中の注意点などを説明しますが、どうも軽く考えているような息子。

結局今回だけは一緒に行くことになりましたが、長年留守がちだったため、この親子は会話がぎこちないんです。同行する次男坊という名の飼い犬を会話の糸口にして、ふたりの引き継ぎの旅が始まりました。

行く先々で、今まで見たことのなかった父親の姿を目にし、長年抱いていたわだかまりがほぐれていく息子の感情の変化が感慨深い。
この息子なら大丈夫だわ、という安心感で旅を見届けることが出来ました。

大きい存在だった親がいつの間にか自分より小さくなっていることに気づいた時に、人は一人前という自覚が持てるのかもしれないですね。
はる

はる