彭見明(ポン・ジェンミン)による同名の短編小説を霍建起(フォ・ジェンチイ)監督が映画化。
原題: 那山、那人、那狗(意味: あの山、あの人、あの犬)
(1999、1時間33分)
1980年代初めの中国湖南省西部の山岳地帯。
1日40キロの山道を3日間かけて郵便物を集配する過酷な郵便配達を長年勤めた父親は膝を患い、息子が引き継ぐことに。
息子一人で行くはずだったが、父の道中の相棒だった道案内役の「次男坊」(シェパード犬)が息子に付いて行こうとしなかったため、父親も初日だけ同行することにする…。
~登場人物~
・父親、滕汝駿(トン・ルゥジュン)
・息子、劉燁(リィウ・イェ):24歳
・母親、趙秀麗(ヂャオ・シゥリー):元は山の民。
・五婆、龔業珩(ゴン・イェハン):孫の手紙を楽しみに待つ盲目の老婆。
・トン族の娘、陳好(チェン・ハオ):山の民
・少年、ツォンワ(?):学校は中2まで。通信教育で記者を目指す。
父親は配達で幼い頃からほとんど家にいなかったため息子は“父さん”と呼んだことがない。気まずさを感じほとんど会話もしない2人だが、共に過ごす中で、父親は息子の成長した姿を発見しら、息子は父親の偉大さを感じる。
次第に距離が縮まっていくその過程を淡々と描いている。
~印象的なシーン~
・盲目の老婆に孫からの"手紙"を読む。
・トン族の村の結婚式に参加後、トン族の娘について語る。
・息子と父が川を渡る。
・父と子が隣あって寝る。
(蛇足)
学校に行けず通信教育で勉強している少年のエピソードなど、辺境部の現実をオブラートに包んで美談に仕上げることに国家の影を感じるが、考えすぎだろうか?