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ウルトラマンゼアスのmitakosamaのレビュー・感想・評価

ウルトラマンゼアス(1996年製作の映画)
3.9
大好き!ウルトラマンゼアス!
ウルトラ的には異色作だけど、映画として成立してるのが良いよ。

ゼアスは成り立ちから異色。元々は出光石油のCMキャラクターのオリジナルウルトラマンだったのが、劇場用作品として発展。出光をスポンサーにしての劇場公開という経緯。

さらにはコメディタッチのウルトラマンとして、防衛組織がガソリンスタンドのMydo(マイド)だったり、同じくCMに起用されてた とんねるずが隊長と副隊長だったり、落ちこぼれウルトラマンだったり…
とにかく相当“攻めてる”んだよな。

出光の低公害を謳うガソリンのブランド名「ゼアス」を名乗ってるので、ウルトラマンゼアスも綺麗好き。電動歯ブラシで変身する。最初は潔癖症過ぎることが弱点になる。
その弱点を攻めるのが「ベンゼン星人」。洒落てるよ。

ウルトラマンゼアスも従来のウルトラマンの赤と銀が逆になった攻めたデザインに加え、グレートなどと同じくゴム製のウエットスーツでなく、繊維製スーツだったり、こだわりが色々見える。

更には初代ウルトラマンの俳優の黒部進・小林昭二・桜井浩子・二瓶正也・毒蝮三太夫らのカメオ出演。これも今では当たり前になったけど、コレが最初だと思われる。

そもそも論として、劇場版のオリジナルウルトラマン自体が実質的に初なんだから。それまではテレビのブローアップだったり再編集だったりの、テレビありきの映画しか無かったわけだし(タイとの合作の「怪獣軍団」と、タロウの「物語」くらいがしいていえば例外か)
ゼアスという独立した作品でテレビシリーズが存在しないのに映画化が出来たのは、後の可能性を大きく広げたよ。

そしてもう一つエポックメイキングだったこと、CGの導入の本格化。
今作の96年にテレビでウルトラマンティガも放送。いわば特撮にCGの入る、まさに黎明期の作品なんだよね。
今の目でみたら、流石に苦しい所はあるだろうけど、監督が作りたい絵を作ることに充分貢献出来てると思う。

その監督は、といえば中島ナントカさんというCMのディレクター。カップヌードルで国際的な賞を取った人。
これも良かったと思う。おそらく今までの特撮業界の人なら、ここまで新しい試みが出来なかったよ。

新世代ウルトラマンの幕開けのために間違いなく風穴を開けた評価に値する1作。
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