そーた

ゾンビコップのそーたのレビュー・感想・評価

ゾンビコップ(1988年製作の映画)
3.8
バカは技術

アッバース朝と唐が激突したタラス河畔の戦い。
この時、唐の紙職人がアッバース朝の捕虜となったことで紙の技術がイスラーム圏に広まりました。
その後、紙の技術はヨーロッパにも広まりそこで活版技術と結び付いて印刷の技術が確立されたそうです。

こんな技術と技術の思いもよらぬ出会いから更なる思いもよらない物が生み出される。

映画の世界でもまた似たような事が起きていました。

ジョージ・A・ロメロにより確固たる地位が確立されたゾンビ映画が、
古きよき80年代のバディムービーとまさかの融合。

この出会いによる技術革新で生まれたのは、超が付くほどのおバカ映画。

ゾンビに成り果てた刑事がノリノリな相棒と一緒に事件の真相を暴く痛快バディムービー。

いや~、とにかくアイデアがバカすぎです。

ぶっ飛びの設定と無茶苦茶過ぎる展開はB級映画ならではですが、
主人公がゾンビになるなんて前代未聞。

アンデットなのを良いことにハチャメチャな戦い方を繰り広げます。

そして敵までゾンビ化してるもんだからお互い死なない死なない。

二人で向かい合ってマシンガンを撃ち合うシーンのバカっぷり足るや、
もはや歴史的快挙と言って良いでしょう。

そして、圧巻なのが中華料理店でのシーン。
発想が神過ぎて、もう拝み倒したい。

レバーが襲ってくるって、どう考えてもイカれています。
さらに、あんなことやこんなことが起きる···
う~ん、言ってしまいたいけれど、
実際に見て頂きたい。
ほんとうにバカですから。

こんな数々の驚愕バカ演出はもう発明と呼べる代物。

歴史において技術革新は世界を席巻してしまいますが、
この映画の革新性はむしろ他の追随を許しません。

だって、どうしようもなくバカなんだもの。

そのバカを貫き通した先には何故か一筋の光明が差すという奇跡。

潔いラスト。

バカは革新なんだと思うには十分すぎるほど輝かしく、
痛快で清々としてしまいました。

現代にアッバース朝も唐も存在しませんが、その間で伝え合われた技術は残されている。

バカという技術も数千年後まで残っていてほしい。

よし、その為の生き証人になろう。

皆の者!
私は最高にバカな映画を見たぞ!
そーた

そーた