歌子

英国王給仕人に乾杯!の歌子のレビュー・感想・評価

英国王給仕人に乾杯!(2006年製作の映画)
2.9
時代は、1918年の建国から30年代前半の古きよき時代を経て、やがて1938年、ヒトラーがズデーテン侵攻を強行し、英仏伊独によるミュンヘン会談の決定によってチェコスロヴァキア共和国が建国から20年で解体し、やがて第二次世界大戦に突入する暗雲の日々の物語。 こうして書くと、シリアスな時代映画を思ってしまうけど、 内容自体は、金の力を信じて、自分のことだけを考えて生きてきたチェコ人のヤンが、給仕人で成功していくものの、多くのものを失い最後に自分の過去と対峙する物語です。
何と言うか表現があっけらかんとしていて、戦争ものをここまで無機質に、能天気に描いちゃっていいのかな?と見ているこっちが心配になるような作風でしたが、最後にはそれなりの落とし所も用意されていました。
英国給仕人のスクシーヴァネク給仕長の誇り高きあり方と、主人公のその場の流れに身をゆだねる生き方の対比が興味深かったです。 (確実な割合で、私なんかは日和見的ポジションなので、主人公ヤン側ではあるのですが・・・) それにしても、チェコ人ってのは、絵本やアニメーションとかもそうなんですけど、独特のリズムと間合いがありますね。 その独創的なテンポが面白かったです。今思うと、トニー・リチャードソン監督の、「ホテル・ニュー・ハンプシャー」的なテンポに似ています。アービング作品を、この70歳のメンツェル監督に映像化させたら面白い映画が撮れそうな気がするな~~
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