“ミュージカルの映画”、Vol.17。
そろそろ終盤を意識。
この企画、最後の日本勢。
ミュージカルとしては少し控えめ。
そんなにガンガン歌が流れて〜、とかではない。
そういう意味ではゴリゴリミュージカルが苦手な人には入門編的な作品。
ただ、ミュージカルとしては入門編でも、ドラマジャンルの作品として入門編ではない。
「嫌われ松子は、神で、愛でした」
ってのが結末なのだけど、その結果だけを言っても観たことない人にはさっぱり「?」だと思うので、オチを言っても問題ない。
嫌われ松子の一生は、とんでもなく極端な現実とファンタジーの狭間を行き来するような人生だった。
「人生が終わったと思いました」。
何回「人生が終わったと思った」のか。
人生が終わりかけても終わらない。
幾度となく食らいつき、幾度となく諦める人生。
「人は何をしてもらったか、ではなく、何をしてあげたか」
まさに彼女の人生。
別に彼女自身は何かを与えてるつもりでしているわけでもなく、何なら人にすがりつきたくて、何かをもらいたくてやってることかもしれない。
それが、相手にとっては、鬱陶しくもありながらも、そこまでしてくれる人は彼女しかいない。
この生まれてきたこと、生きてきたこと、それ自体がなかなか前向きに思えないことばかりが続く。
そんな彼女が、似たような人を見つけては近付く。それが、結果的に自分の何かを削りながら、何かを残していく。
その相手の方々。豪華絢爛。
人数も、インパクトも。知名度はもちろんのこと、アクの強い面々が次から次へと現れては去っていく、、、。
松子から求めることもあれば、相手が求めてくることもあり。
松子が去ることもあれば、相手が去ることもある。
そんな人と人の摩擦、人生、出会い別れの積み重ね、こんな強烈な人生を送った彼女。
要所要所の時代を感じるエピソードやコンテンツが差し込まれて、懐かしさや古き良き温かみがある作品。
彼女の人生の幕開けから、閉じ方まで。
何から何までただ事ではない彼女の人生の凄み、極み。
見た目も雰囲気も、中谷美紀も、豪華キャストも、なかなか記憶に残る強い作品。
観たの何回目かわからないけど、観てるこっちも色んな感情が沸き立つので、忘れた頃にまた観たくなる。
けど、観た後は「もう、しばらくいいや」って確かな余韻と爪痕が残る作品。