TaiRa

抱きしめたいのTaiRaのレビュー・感想・評価

抱きしめたい(1978年製作の映画)
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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の雷って使い回しだったんだな。ゼメキスがこれ撮ったの26くらいなのね…。

記念すべき最初の「製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ」映画でもあって、もうこの時期から若手のフックアップしちゃうスピルバーグも凄い。次の『1941』(ゼメキス&ゲイル脚本)で大コケしちゃうけど。改めてゼメキスって歴史の一点に入り込む話好きなんだな。そこで虚構の歴史作っちゃうのも含めて。「ブリティッシュ・インベージョン」のまさに発火点であるビートルズが「エド・サリヴァン・ショー」に出演した1964年2月9日を描いた映画。ビートルズがアイドルという存在を確立し、その副産物として誕生した「追っかけ」を主人公に置く。ある意味『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』のアナザーサイドという感じ。あるいは『アメリカン・グラフィティ』(1962年が舞台)直後のアメリカン・ティーンエイジャーの変化。オールディーズのロックンロールが過去のモノになった瞬間。その価値観の軋轢も描かれていて面白い。ロッカーズ的な不良少年たちが反発していた大人たちと同じく「男らしさ」にこだわる中、ビートルズに熱狂する女子や少年はそこから解放されてる。ビートルズが最初にもたらした重要な変化をちゃんと拾ってる。ゼメキスはUSCの入試にビートルズの論文(と自作MV)出して入学したらしいからめっちゃ分かってる。あと単純にスラップスティック・コメディとしてメチャクチャ面白い。俳優たちの身体の張り方が凄いし。それに群像劇としても人物の散らかし方とまとめ方が最高に上手い。やっぱゼメキス&ゲイルって天才だわ。好きな場面は床屋のドリーしながらのカットバックとポールのベースを男性器に見立てて愛撫するナンシー・アレン。ビートルズが演奏を始めた瞬間の高揚感で泣く。
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