ますだ

アメリカン・スプレンダーのますだのレビュー・感想・評価

アメリカン・スプレンダー(2003年製作の映画)
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世界は愛に満ち満ちていて、世界はそれに気がついていない。
そんな世界が妬ましく、馬鹿ばっかりだと恨みさえする。
いざ自分が愛を手にしてみると、自分が世界の一部になれたと錯覚し、愛を驕って憎んだりもする。
究極的に言えばお金や名声などいくらあったところで、隣で愛する人が眠っていなければ何の意味もないのだ。
もちろんそれが全てではないしお金や名声が愛に注がれたりもするけれど、つまり今夜も安心して眠るために誰かの寝息が必要だ。
アンダーグラウンドな漫画の原作者という肩書きをもって、それを世界に見せつけるような物語。
欲しいのはただひたすらに愛だけであることが歯痒い。芸術家は愛を好んで描き、そしてそれに影響され憧れ、芸術家になったりならなかったり、今日もまるで満たされない人達が芸術を武器にして満たされない心を満たそうとする。
たぶん世界は永遠にこんな感じでぐるぐるとしているだろう。
商業的なあらゆる作品はそれはそれは結構な事ではあるが、全くもってその場限りのとんちんかんが鼻につく。それに救われている人がいることもまた事実ではある。
空っぽな頭でぴーひゃらしていられるならそれに越したことはないのだから、いちいち気が付かないほうがいい。
気がついてしまったなら、こういう映画を見るしかない。
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