若い頃見た時は、なんだか圧倒的なパワーにやられて漠然とすげえ映画だなあと思っていた。
十年以上経って、今改めてみるとその激しさみたいなものはいまいち感じることができなかった。たぶん当時は世界を知らなすぎたのかもしれない。
もちろん戦争のような生き死にのストレスを今のところ経験していないことに感謝せねばならないが、なんとなくこの世界、とりわけ人間というものの汚さや醜さは総じて共通しており、人の心の裡にあるものは何も変わっておらず、踠いたところで溺れていくだけなのだが、時々それが何かによって研ぎ澄まされていくような、一種のトランス状態でハイになっていくような、そんな映画。