コッポラのフィルモグラフィでとりわけストーリーテリングが簡潔かつ、失われしアメリカを映し出す映画の在り方という問題に対し無理なく的確な解答を示してのけた巧みな一本。
一枚の写真から得られる情報を最大限に脚本に取り入れた自動車ショーの右往左往は笑えるし、ジェフ・ブリッジスの顔面に張り付いた笑顔の固さも魅力的だった。
『レインメーカー』で追求された「真実の所在」といった主題はあっさりと避けられていた。決定的な場面には常に家族全員で立ち会うなど、コッポラの映画における家族像の刻印もいたるところに示される。