スギノイチ

学生(せいがく)やくざのスギノイチのレビュー・感想・評価

学生(せいがく)やくざ(1974年製作の映画)
2.5
「学生」と書いて「セイガク」と読む。
安藤昇映画ではおなじみの響きだが、本作では無関係だ。
かなりドマイナーな映画であり、内容も微妙なのだが、バイオレンス度は妙に高い珍品だ。

1974年の東映やくざ映画であるからには実録路線なのかと思いきや、義理と任侠で生きる学生愚連隊の話だ。
山高帽に白い腹巻の主人公、女子高生ですら仁義をきる世界観。フォーマットは時代錯誤の任侠映画だ。
ただ、輪姦シーンや暴力シーンの頻度や表現は実録路線のそれであり、何ともアンバランスな色合いだ。

さらに珍妙なのは、過激左翼集団の物語がサイドストーリーとして組み込まれ、しかも最後まで大して絡み合わないという構造だ。
左翼パートの主役は峰岸徹。理想と現実に苦悩する革命青年を演じるも、渡瀬恒彦とはたまに絡む程度。
その割にはこのパートが占める尺は多く、内ゲバシーンなどは異様に力が入っている。
(峰岸徹が縛られ殴られ、体に穴を開けられたりして痛そう!)
意味深に出てきたヒロインもすぐ輪姦されて退場するなど、かなりしっちゃかめっちゃか。

これから何十年経とうと再評価など無さそうな映画だが、妙に心に残るシーンがある。
特に、車で轢き殺そうとして来る敵を電柱の死角を利用してチョコチョコ躱すシーン。
妙なところだけ現実的だなあ、と印象に残っている。
当然迫力はないが、確かにこれなら轢かれない。
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