DBS

めしのDBSのレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
3.8
マンネリの結婚生活に浮気(近親相姦)や離縁の影を持ってきて元サヤに戻っていく。結婚、仕事、金銭、近所付き合いといった社会生活に疲れながら幸福とは何かと疑問を思う。

後半、祭りのパレードと共に夫婦が出会うところにハッとした。決めきれない漂うだけの気持ちを抱えながらハレのシーンに出会い、なんとなく決心する。人の人生の決心とは「なんとなく」その時みている外の風景で決まるものなのだ。
台風の中では何も良いことは起こらない、決まりの悪いことばかりだが、たまたま出くわした祭りの気分で行く末が決まる。
自分の気持ちなど、外の風景を(世界を、廣い宇宙を)舞う紙切れに過ぎない。
行動の理由は、外の世界(…太陽)にあるのだ。

結局は睡眠の欲に比べれば妻の秘めたる気持ちなどどうでもよい夫の傍らでの、最後のモノローグは監督の立場表明だろう。答えを定めなければならない時代柄だったのか、性急に請求に応えたものに過ぎないように思えた。

止まった時計、尻尾の差でみせる猫、東京(川崎)にくらべて明らかに劣る大阪、台風に鳴る窓、あらゆるものが隠喩的に使われる。
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