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遠足 Der Ausfluの324のネタバレレビュー・内容・結末

遠足 Der Ausflu(1999年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

アールブリュットは正当な評価をされる芸術と何が違うのか。そもそも芸術に「正当な」評価なんて存在するのか。

宮沢賢治やドストエフスキーやベートーヴェンやゴッホも障害を抱えていたとされている。人とは異なる視点で世界を見ること、人とは異なるものを創造することが芸術家の資質ならアールブリュットも評価されて良いはず。

作中に出てくる自分の妄想している神話の世界を描き続けるおじいちゃんなんてJ・K・ローリングに比べたら可愛いもんだ。

普通じゃないことが評価されるなら、芸術という分野において芸術家と精神障害者のバリアは限りなく他のどの分野よりも薄い。

しかし、アールブリュットが正当な評価をされないのは、作家が正当な教育を受けていないこと、創作の基礎を吸収した上で新規性や独自性を生み出していないことがあるのだろう。
大人が子どもような絵を描くのと、子どもが子どものように描くのは違うということか。確かに技術あっての芸術だ。

だけど私は子どもの絵が好きだし、子どもが撮った写真も好きだ。自分に無かったものを発見する驚きや、共感する感動は作品のみを見て感じることであり、誰が作っても全く平等であるはず。
その作家なりの思想や理論や感情が表現されていたら評価に値してよいはずである。妄想の神話でも。

評価することと好きであることは違うということなのだろうか。確かに好きなことに理由は要らないが、評価するのに理由は要る……。難しい。答えは出ない。
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