津軽系こけし

ヒックとドラゴンの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

ヒックとドラゴン(2010年製作の映画)
4.7
君となら、どこまでも飛べる


昔はドラゴン図鑑なんてオリジナルで作ったものだが、今見ると脚本の上等ぶりに圧倒される。バイキングの息子”ヒック”が、敵であるドラゴンとの和解を通して成長してゆく物語。バイキングという前時代的な偶像が、新世代の新たな視点によって塗り替えられてゆくという、模範的なアメリカンストーリー。そしてその新たな視点像を、ドラゴンとの友情活劇で飾るというスマートぶりは恐るべきところである。

ヒックとトュースのバディモノとしてもすこぶる見やすい。2人の距離の縮みを、時間の制約を感じさせないほど端的かつ情緒的に描き出している。線を踏まずに歩き進むシーンは、まさに2人の距離の”一線”を超える象徴的な場面である。
さらに、ゲップやフィッシュなど、物語を飾り立てるに最適のキャラクターが脇を固め。無数のドラゴンによるアイデア的彩りも押さえている。まこと、子供が観るには上等すぎる作品である。

さて、そろそろ3作目視聴に向けて、10年来の重い腰を上げるとしよう。
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