まず、主人公はオ○○○ンが大きく床上手の高校生、その両親は息子の生き方を全否定する母親と、息子の存在に無関心な父親。
その他、全ての愛を受け入れる女(ジュリアン・ムーア)全ての人に役を与えるポルノ映画監督。
そして男の妄想のまま、すぐにセックスさせてくれるローラーガール。
など、登場人物の全てのキャラクターは誇張され単純化されしかも歪んでいる。現実感のカケラも無い。
映画の前半はキャラクター紹介に費やされるが、その人物像はどこか子供の視点を感じる。子供から見た大人達の異様な生態とでもいうか。
前半と打って変わって後半は怒涛のストーリー展開となる。前半の非現実感を払拭され手に汗握る緊迫感。そして最後はいきなりの大団円。まさに序破急。
PTA監督はこの時27歳。映画に登場させる人物はキャラクターが明確で、ストーリーが回転すれば良いことをすでに理解していた。天才というか彼は映画を作る為に産まれてきたのだろう。
この映画を見ればPTA監督のフィリップ・シーモアに対する深い信頼と愛を感じる。彼の喪失感はいかほど重かったか……。
2023年2月18日