未明の牧場に響き渡る羊達の断末魔の悲鳴。その声が止む時、幼い少女は決意する。自分に希望は無い。羊と同じ。だからひとりで生き抜くのだと。ここから始まる、終わることのない孤独との闘いが。
歳をへて少女はFBI訓練生となる。己に厳しく生きてきた。そして出会う。レクターという怪物(運命)に。
怪物はまるで熟練の金庫師がカチャリ・カチャリとダイヤルを合わせ解錠していくように、クラリスの固く閉ざされた心の扉をこじ開ける。
その先にあるのは支配と服従。「お前のことは全てわかっているぞ、お前は俺と同類だ、従え、俺に従え、それこそがお前の望みなのだ」
レクターは呪縛の糸でクラリスの全身を絡めとる。