ふぇりな

泳ぐひとのふぇりなのネタバレレビュー・内容・結末

泳ぐひと(1968年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

なんのきっかけか忘れましたがここでたどり着いて変な映画だな…と思って気になっていましたが…なるほど、たしかに変だし唯一無二だしよくできてる作品だなと思いました。

アメリカではプールある家って日本の比じゃないんですよね。私も初めて行った時驚いた記憶があります。今では正直なところかなり一般的に普及しているイメージですが、当時はたしかに富の象徴みたいなところもあったのかもしれません。家に近付くにつれどんどん人々が冷たくなっていくのも悲しいけれどリアルですね。
格差社会がテーマなのは言うまでもありませんが、登場人物がほとんど白人であることや、女性や子供に対する態度=女性や子供の搾取であったり、主人公の家父長的しぐさや周囲への無遠慮で根本的に見下している行動がどんどん顕になってきて、哀れではあっても可哀想ではないのが見事だったと思います。"思い込んだらそれが本当になる"という主人公の考え方こそただの思い込みに過ぎないし、あとはもう落ちていくだけなのだなと観客にははっきりと伝わりました…。

でも、この映画の良くも悪くもいやな点は、作中の出来事と近い未来、そして過去の出来事はわかっても、直前については全く分からずなぜこうなっているのかは最後まで見てもなお不明であることです。そこが1番気持ち悪いところな気もしますね。

余談ですが、本当にプールが繋がってて泳いで渡るのかなとか思ってたら、結構歩いたり走ったりするシーンが多くてジワジワきました。笑
好きかと言われると好きではないかもしれませんが、非常に示唆に飛んでいて面白い作品でした。こういう気持ち悪さを感じ取れる人間でありたいですね。
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