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泳ぐひとのGTのネタバレレビュー・内容・結末

泳ぐひと(1968年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1人の中年男が知人のプールを泳ぎながら家に帰るという意味不明の設定の映画。男は映画中ずっと海パン一丁で側から見ればただの変態だ。
映画の前半では男は人望があり、体も丈夫なように見えるが、元ベビーシッターに誘いを拒まれたあたりから周りの風当たりが強くなり、体の方も歩き方がびっこを引いていたりしきりに寒さを訴えたりと衰えが激しくなる。この変化の演技が個人的にはすごいと思ったポイントで、今までは海パン一丁でもその凛々しさと自信たっぷりの佇まいからすごく絵になっていたのに後半ではしょぼくれてしまいその姿がものすごく痛々しく思えてくる。ラストではなぜか家は荒れ果ていて妻も子供もおらず雨の降りしきりる中で海パン一丁で玄関のドアを叩き続けるという衝撃的な結末。なんだか寓話のような話だ。たぶん、落ちぶれた人の一生を泳ぐことによって表現した映画なんだと思う。すごく面白いというわけじゃないけど、心の底にグサリとくるような作品だった。
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