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サイコ2の一人旅のレビュー・感想・評価

サイコ2(1983年製作の映画)
4.0
リチャード・フランクリン監督作。

サスペンスの神様:アルフレッド・ヒッチコックが1960年に生んだサイコサスペンスの金字塔『サイコ』(1960)の続編で、前作に引き続きアンソニー・パーキンスが主人公ノーマンを演じます。シャワー中に刃物で惨殺される前作の有名シーンをそのまま引用した冒頭が本作が『サイコ』の正統な続編であることを示しています。

前作の惨劇から22年後を舞台に、精神病院を退院し自宅に戻ったノーマン・ベイツの周囲で不可解な殺人事件が巻き起こるというサイコスリラーで、同じダイナーで働く若いヒロイン:ライラとの関わりを軸に、正気を取り戻したとされるノーマンが人生を再出発させた矢先に発生した一連の事件と対峙していく様を描きます。

ノーマン・ベイツ=(元)異常者であることを前提とした続編ですが、二転三転の先読み不能な脚本と観客の予想を裏切る結末に最後まで目が離せない作品となっています。ヒッチコックのオリジナル版ほどの衝撃はありませんが、オリジナル版の結末を踏まえた上で仕掛けるどんでん返しに“してやられた感”を味わえる正統な続編で、正常と異常の狭間に追い込まれたノーマンの孤独と苦悩が鬼気迫る内面葛藤劇を成していますし、ノーマンを信じて疑わないヒロインの純情がオリジナル版には無かった恋愛心理要素を加味しています。

『パトリック』(1978)や『リンク』(1986)といったスリラー映画を十八番とするリチャード・フランクリンが往年の傑作サスペンスを再構築した続編で、主演のアンソニー・パーキンスの感情を抑えた妙演が不気味な感覚を現出しています。
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