ゆうたむ

八日目の蝉のゆうたむのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.0
冒頭、希和子に対して
「なんだこの女!!!絶対に許せない!!!
(恵津子のセリフ同様に)死ね!死ね!死ね!」という感情を植え付けられてから始まる本舗。

犯しているのは母親から子供の人格/人生ごと取り上げてしまうエグい罪なのに、視聴者側が希和子のことを段々許していってしまうので怖い。

誘拐して間もない頃、生後4ヶ月の恵理菜は深夜にギャン泣き。
母乳の出ない乳を吸わせさらにギャン泣き。
その恵理菜を抱きしめて一緒に泣く希和子の姿は、誰がどう見ても本物の母親なのだ。

「我が子を愛する気持ちだけで乗り越えられた夜」という母親なら誰もが共感できるシーン。
何十年も前に出産した人でも我が子が乳児期のことが鮮明に思い出せるような、秀逸な演出だった。

そういった繊細でリアルな描写が続くので、最後の方は希和子が犯罪者であることを忘れ、イチ母親として激しく感情移入してしまう。
まるで希和子が子供を奪われたかのような気持ちになってしまうのがかなり複雑。

とにかく元凶は恵理菜の父親。
劇中では一瞬、大人になった恵理菜にお金を渡して罪滅ぼしをほのめかすシーンがあるだけ。この男どう思って生きてきたんだろう。
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