クラゲライダー

八日目の蝉のクラゲライダーのネタバレレビュー・内容・結末

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

「憎みたくなんか、なかった。お母さんの事もお父さんの事も…あなたの事も」
井上真央演じる恵理菜が写真館を飛び出して言う最後の台詞。
思い出すだけで目頭が熱くなる。
この"あなた"は、おそらく永作博美演じる希和子の事を指していると思う。
希和子は自分を誘拐した女だから、憎まなきゃいけない存在のはず。そう思って生きていた。
けれど現像液の中で徐々に浮かび上がる写真を見た時に、恵理菜は気付く。私は希和子を全然憎んでいなかった。私は愛されてきたし小豆島で幸せだった、と。
そして恵理菜は人を愛する事や母性を思い出し、映画は終わる。

見終わった直後は、誘拐した人間が母性を思い起こさせるなんて誘拐した人間に甘いとか、実の母親が可哀想と思う。
けれど、本来憎むべき人間なんていないんだよ、という優しいメッセージともとれる。
一面的ではない色々考えられる素敵なラストでした。
傑作!