TaiRa

キートンの探偵学入門/忍術キートンのTaiRaのレビュー・感想・評価

5.0
キートンの体を張ったアクションはもちろん、映画を扱った映画としての完成度も非常に高い傑作。

探偵志望の映写技師が恋敵の策略で恋人と引き離されてしまう。傷心しながら映写の仕事に取り掛かる最中つい居眠り。気がつくと幽体離脱していてそのまま映画のスクリーンの中へ入ってしまう。映画の中に入る映画と言えば『ラムの大通り』があるし、逆に映画の中から出て来る映画は『カイロの紫のバラ』がある。そういった映画と現実を飛び越える作品群の原点にして頂点がこれ。キートンがスクリーンの中に入ってしまうシーンが最高。カットが変わる度にキートンが危険な目にあう。最初は客席も見える状態だったのが、映画内映画の世界に完全に移行する瞬間にスクリーンへズームしていくのも気持ちいい。名探偵シャーロックJr.として恋人の姿をした女性を救う。ビリヤードの超人的な技が何気に凄いしめちゃくちゃ笑える。バイクのハンドルに乗った状態で命張ったスタントを見せる場面は本当に凄い。走る列車の前をギリギリ通過するショットだけ異様に緊張感が伝わる。夢から覚めた映写技師が恋人と抱き合いキスをする為に、映画を真似るのが良い。映写窓によって出来たフレームと映画のスクリーンに映るフレームを切り返す巧さ。
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