松本清張による小説の映画化作品。
会社内ヒエラルキーの残酷さを丁寧に振っていく時間が長く感じる一方で修羅場のゴルフ旅行シーンなど見どころも多い。
終盤30分のサスペンスフルな展開はワクワクするが、早くからの手詰まり感を察知してしまうとすこしわかりやすさはある。やくざを揶揄したシーン(丹波哲郎!)は笑った。
結局、単純な二元論に終始しない、様々な視点を見せた次作「あるサラリーマン」の方にストーリー上のサスペンスのクオリティでは軍配があがる。でも、役者陣は負けていない。特に新珠三千代の妖艶さと平田昭彦のここぞという場面のポーカーフェイスにしびれる。ただ、平田昭彦演じる桑山常務のセリフは全部ドン引き!って感じ。「川の字になって寝よう」なんてなかなか言わない。
ラストに関しては、現代の作品だったら「まだ終わってねえよ!」とおかわりしてくるかと思うけど、この話に関してはこのくらい突き放した方が良いと感じた。