ハレルヤ

穴のハレルヤのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.3
刑務所から脱獄する映画と言えば「ショーシャンクの空に」「アルカトラズからの脱出」、そして「大脱走」(厳密には収容所だけど笑)などが代表作として挙げられます。

本作「穴」もその脱獄ものとして、上記の作品と双璧とも言えるくらいの完成度を誇る傑作でした。今まで知らなかったのを後悔したくらい。

1947年にフランスで実際に起こった脱獄事件を基にしていて、キャストの1人も本当の脱獄を経験しているという驚きのキャスティング。

それだけでも規格外の要素なのに、劇中の2時間10分は今まで見てきた脱獄ものの映画とは全く違う面白さと緊張感に満ちたものでした。

脱獄を企てる5人の囚人を軸に、部屋から地下室、そして地下水道からの脱出を目指してひたすら穴を堀り続ける内容。これだけだと相当地味な感じに思えますが、緊迫感を煽る演出が際立っていて、全く飽きさせません。

BGMを徹底的に排していて、地面を叩きまくる音、ヤスリで格子を削る音、地下水道のコンクリートを砕く音と、現場に鳴り響く音をメインにしているので、観客も1人の囚人としてその場に居合わせているような感覚になります。

こんなデカい音出して大丈夫か?と心配になるような場面も連発。看守を見張ったり、気が遠くなるような作業を交代で行ったり、時には危険な時でも助け出したりとチームワークで危機を乗り越えていくのも、大きな見応えがありました。

そんな脱獄計画が成功するかどうかは見てのお楽しみです。ただの脱獄を描いただけの映画ではなく、5人の囚人たちの人間模様を捉えたドラマでもあるのもポイント。

ほぼ刑務所のみが舞台で、女性もほぼ出てこず、むさ苦しい男たちの汚れた姿ばかりの映画ですが、ここまで面白く、そして最初から最後まで一切気が抜けない作品もなかなか無いと思います。気になった方は是非!
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