ひでG

赤い殺意のひでGのレビュー・感想・評価

赤い殺意(1964年製作の映画)
4.0
ずっと観たかった。タイトルはずっと昔から聞いていたけど、なかなかお目にかかれなかった。古の日本映画を忍び込ませているアマプラのちょっと通なところがいい。

1964年の鬼才今村昌平監督作。前年の「にっぽん昆虫記」でキネマ旬報の邦画一位を獲得した今村監督、脂が乗り切ったころ。

いやあ、衝撃的な作品だ!閉ざされた地方都市、かつては本家の女中だった主婦貞子は、夫吏一に従属、支配されている。

そんな折、夫吏一不在時に、自宅で強盗犯に、貞子がレイプされてしまう。
性被害者にも関わらず、それを夫にも告げられずレイブ犯に直談判する貞子、
右往左往する貞子、常に抑圧的で貞子を妻として認めない吏一や義母、吏一は職場の同僚と不倫関係だが、相手の女性も貞子を蔑んでいる。

これは書き方が難しいが、レイブ犯(あの「太陽にほえろ!のヤマさんの露口茂!)だけが貞子と対等に向かいあってくれる。

レイブ犯への抗議やもう付き纏わないで!との伝えるために、結果的に彼と逢瀬を重ねることになる貞子。

これも書き方がセンシティブだが、レイブ的な2人の性行シーンの撮影が素晴らしい!
アイロンに映る2人の身体の重なり、
走る電車の最後方でのレイブシーンなど、どれも他に見た事のない撮影だ!
撮影監督姫田真佐久とのタッグにより今村演出も冴え渡る!(クライマックスの絶望的な雪景色も白黒ながら迫力満点だ!)

凄い撮影、凄い演出、絶望感が半端ない閉鎖性、
今村が懸命に炙り出したニッポンの影は
まだそのまま在るのだろうか。
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