マンション

ブラックブックのマンションのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.3
僕はポールバーホーベン監督作品に通底する、人間をシビアに見つめた視点が大好き。本質が見えてるからこそ、良識をエグるようなブラックギャグも、単純に善悪だけでは割り切れない人間のいじらしさもどちらも描ける。それがバーホーベン監督の凄みだと思う。
今作ブラックブックはそんな監督が、スターシップトゥルーパーズ、ロボコップ、トータルリコールとさんざんふざけ倒してきた80〜90年代を経て、遂にそのブラックギャグ気質を抑えて、ニヒルな人間観はそのままに大真面目に撮った大傑作。

凄まじいのは終盤の糞尿シーン。大勢の人間がその場その時の価値基準だけで平気で一人の人間に寄ってたかって攻撃するなんて風潮は、現代社会においてもなお強まっているような感があるが、我らがバーホーベン監督はこのシーンの一発で、そんな集団心理の汚なさをどんなアホが見ても分かる表現で痛烈に断罪している。この知性。ここでの絵面の胸糞さに反して、感動すら覚えてしまう。

死んだ目のクソ野郎、フランケン中尉がやたら音楽の素養があるとことかいちいち最高。

奴に惚れたのか?
そうよ。いけない?