KAJI7

ブラックブックのKAJI7のレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.1
制服だけは本当にかっこいいナチス・ドイツ…

スパイとしてナチス・ドイツの将校に接近したユダヤ系の元歌手の女性の、壮絶な人生を描いた恐ろしき伝記作品でした。😱


誰しも己の中には小さな正義を持っていて、それが大きな正義と直接結びつく幸運な人間もいれば、結びつかない独創的な人間もいて、ほんとは結びつきもしないけど手段として大きな正義に寄り添う計算高い者もいる。

そんな様々な人間が共存する世界だから、何もかもがみんなの希望通りに、上手く回っていく訳では無いです。
でも、正義の価値が常に等価であると分からない人間が、大きな正義を振りかざす立場にあっていいんですか?
「平和ボケ」なんてレッテルを貼られ揶揄される僕らの世代ですが、人為的に、不当に殺される人間がいなくなるんなら、なんと言われても構いません。
戦争してまで、征服してまで手に入れなきゃならないものなんて、人間一人の生活スケールではたとえ一世紀生きたって登場しないはずです。

彼女が辿った半生は、まさにその事を象徴するようなものに見えました。
疑うくらいなら騙される方がマシなのかもしれないと信じることこそが、弱い僕らが持ちうる最大の武器になると。
世界が疑心暗鬼になっている今だからこそ、僕らはこの極端なナチスの惨劇を思い出す必要があると思います。
この作品にあたって、そう再認しました。😌
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