ぞんびちゃん

三月のライオンのぞんびちゃんのレビュー・感想・評価

三月のライオン(1992年製作の映画)
3.6
三月は冬の終わり。これから春が訪れ、いずれ夏へと季節は流れてゆくのが常だけれど、ハルオ(春)もナツコ(夏)も否定し、アイス(冬)として時と運命に逆らう主人公。

季節の終わり。取り壊されていく建物。毒。老いた夫婦。売春。そして近親相姦。

近親相姦の話だ、と言ってしまえばそうなりますが、この作品のコアとなるテーマはそうではないように感じました。
青少年特有の、触れれば割れてしまうような自己だとか破滅願望だとか。そういったものが真ん中にあるのではないかと思います。

全体を通して、とにかく台詞が少ない映画です。必要な情報は、すべて”映像”と”音”で分からせる。「映画でなければならない映画」でした。小説や漫画やアニメーションにしたら全く無意味になってしまうような。そんな繊細な作品でした。