きぬきぬ

傷だらけのアイドルのきぬきぬのレビュー・感想・評価

傷だらけのアイドル(1967年製作の映画)
4.0
時代を問わず、今もほぼ変わらないと思う社会やマスコミへの批判が痛烈!
若い歌手の青年が組織的宣伝戦略でカリスマ的アイドルとなり、政治や社会にさえ利用されてしまうのだが、青年もアイドルという特権を与えられ堕落していく。ファンの狂騒ぶりも恐ろしいけど、祭り上げられた彼の教祖ぶりも凄い。カルト信仰と変わらない描写が鮮烈!
でも自分を見失いそうな青年に唯一心を許せ愛する女性が出来たことで、まだ若い純粋な面が残っていたからこそ、操り人形に自我がある事が表面に出てしまい、悲惨な失墜となる悲劇がもう痛々しいのなんの。そこには彼の歌手としての才能なんて全く考慮されていないのだから。
特権を与えられた者への皮肉も込められていて、嫌~な後味が残るけれど、それこそがこの作品だからそれが良い!
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