エイチ

キャビン・フィーバーのエイチのレビュー・感想・評価

キャビン・フィーバー(2002年製作の映画)
1.3
イーライ・ロス監督作でもかなり初期にあたるタイトル。恐らく様々なホラーが好きなんだろうな…とは伝わってくるが、正直驚く程に観ていて惹かれる物が無い。

山小屋でお楽しみの若者グループを突如謎の感染症が襲う…というストーリーラインだが、それを構成する各要素が既視感の強いツギハギ状態になっている。
感染症の描写は「アウトブレイク」、全体的に生理的嫌悪感を催すざらついた映像作りや理解不能な集団への恐怖は「悪魔のいけにえ」、〇〇の襲撃描写は「死霊のはらわた」、後半の展開は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」etc…とどこかで見たなと感じる表現のオンパレード。

しかしそれらが効果的に調和しているとは言い難く、正直各々で浮いている。
そもそも「山小屋」というシチュエーションと「感染症」の恐怖という二つの相性はそれ程良くない。
前者には「殺人鬼や死霊」後者には「最低町一つ規模の大きめな舞台とそこに居合わせた専門家」が話を広げやすい要素だが、それを敢えて使わない事にオリジナリティを見出した結果宙ぶらりんに終わっている。
やるならやるでもっと緻密な脚本の構成力が欲しかったところ。

そしてバカな若者が何一つ適切な行動を取らず右往左往するばかりかその癖余計な真似をしでかし続けた結果、本来なら助かった局面を自らだいなしにする感情移入できない様を見せられても無常さより自業自得感が先立つ。
魅力的、或いは理解しやすい登場人物作りという基本にまず失敗している感は否めない。

評価されている他の映画から良さそうなポイントだけを抜き出混ぜ合わせた所で、オリジナルを越えられる筈も無い。
パロディとして笑いに走るでも、リスペクトでオリジナル要素と両立させて昇華させる事もできない。その中途半端さが根本にある問題点だろう。

とは言え、この後にロス監督は「ホステル」というかなり尖った独自性もある作品を手掛けている。
そこに至るまでの過程として今作も必要だったのかもしれない。