Yoshishun

ラスト、コーションのYoshishunのレビュー・感想・評価

ラスト、コーション(2007年製作の映画)
3.8


トニー・レオン×タン・ウェイ×アン・リー監督による官能サスペンス。アメリカをはじめ、劇中の濡れ場が過激すぎて18禁として公開され、かくいう監督自身も拘りが強く該当シーンのカットを断固として反対した程の強烈さ。実際観てみるとかなり生々しく、本当に入ってるんじゃないかと思う程にリアルだった。

大筋は、本来は敵同士の男女の叶わぬ情愛もので、麻雀談義で始まったかと思えば回想に入ったりと序盤は状況を呑み込むのにやや時間がかかる。トニー・レオン演じるイーは、占領元の日本と協力し抗日家を粛清する役割を担っていたが、やはり母国に対する侮辱行為であると後悔し、また裏切りや安易に人を信用できない環境にいることで心そこにおらずな日々を送っていた。そこに幼気ながらも美しきチアチーと出会い、殻に閉じこもっていた彼が唯一信頼でき、本性を顕にできる相手として惹かれていく。チアチーの素性は知らぬまま、欲望と本能剥き出しな濡れ場は、まさにイーが自分を曝け出す方法、嘘だらけの世界で唯一の心の拠り所として意味あるものだったように思う。

この濡れ場が強烈すぎて、スパイものとしての印象が薄まっており、大学生グループの計画の爪の甘さが気になってしまったが、アン・リーが描く大人の官能サスペンスとしては文句無しの出来だと思う。
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