Yoshishun

ドーン・オブ・ザ・デッドのYoshishunのレビュー・感想・評価

ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)
3.7
ザック・スナイダー監督長編デビュー作。
ジョージ・A・ロメロが生み出したホラー映画の名作『ゾンビ』に新設定を加え大胆にアレンジしたリメイク版である。

なんてことのない日常が崩壊していく様はまさに後世の同ジャンル作へと受け継がれ、日本でも『アイアムアヒーロー』に影響を与えたことは間違いないだろう。前日に親しく話していた隣家の少女が突然血塗れの状態で佇んでおり、あっという間に家中が惨劇と化す。『バイオハザード』の申し訳程度な日常の崩壊とは比べ物にならない程に残忍かつ衝撃のシークエンスが展開される。鮮血と混沌に満ちたアバンタイトルからも掴みは完璧といっていい。

また、本作最大の特徴は、全速力で追い掛けてくるゾンビだろう。『28日後‥‥』のレイジウイルスはあくまで感染者の括りであるため、人肉を欲して全力疾走してくるゾンビたちの描写は堪らない。

とは言うものの、そんな疾走感あるゾンビを完璧に引き立てていたのは冒頭のみで、ショッピングモールという閉塞的な空間では行動も速度も制限されるため一気に失速していく。オリジナル版のような疑心暗鬼に満ちた人間関係は受け継ぎながらも、どこからともなく襲い掛かってくる恐怖感はあまり感じられず。おまけに途中で登場する親子の安い感動ドラマに時間が割かれており、この娘が面倒事を引き起こす展開も好きになれない。

個人的にザック・スナイダー監督は『300』以外当たり無しのイメージだが、本作は後続のDC映画よりも監督の持つビジュアル性や残虐性が爆発しており、伝説のオリジナル版に果敢に挑んだ姿勢には脱帽するしかない。NETFLIXで久々にゾンビ映画を手掛けていたが、是非とも映画館でまたこの手のスリリングなホラー映画でカムバックしてほしい。
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