佐藤克巳

姿三四郎の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

姿三四郎(1943年製作の映画)
5.0
短縮版しか現存しない断り書きがあり、その後2001年修復版が公開され7分短いだけになったそうで、今回再見して、ヒロインとの恋愛場面、三四郎特訓場面等が欠けたままだが、観た印象は頗る違った。檜垣源之介月形龍之介の存在感が高まり、ヒロイン小夜轟夕起子の登場回数が増し、轟が日活の後輩和泉雅子似である事を発見。矢野正五郎大河内傳次郎が柔術家に夜襲され川に次々と投げ込む迫力に魅了された姿三四郎藤田進が、車夫の代わりに下駄を履き捨て人力車を引いた後、その下駄が路上で古びてゆく経過がそのまま姿の成長を言い表している比喩が見事で、そのまま元祖武闘映画に私は魅了されたのだった。
佐藤克巳

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