カタパルトスープレックス

ゴジラ対ヘドラのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)
2.8
ゴジラの低迷期に作られた意欲的な第11作目であり、非常に評価が分かれる作品。マニアには好評ですが、ゴジラ映画に何を求めるかによって評価が変わるでしょう。テーマは「公害」です。

前作『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)で子供向けに大きく舵を切り、低予算ながらドラマパートを頑張りました。でも、興行的には不調だったのでしょうね。今回は社会派に振ってきました。

いきなり主題歌の『かえせ! 太陽を』(麻里圭子 with ハニー・ナイツ & ムーンドロップス)がイカしてます。「水銀、コバルト、カドミウム、鉛、硫酸、オキシダン」ですよ。公害がテーマとはいえ、すごい歌詞!この曲はキノコホテルもカバーしているので、その筋の人には有名ですよね。ちなみに、麻里圭子はアニメ版『サインはV』の主題歌も歌っています。

前作は人間のドラマパートがメインでしたが、今回は怪獣パートがメインです。公害から生まれたヘドラが主役と言ってもいい。これまでのゴジラ映画の怪獣と違って、造型がかなりユニークです。ドロドロ。これはこれでボクはカッコいいと思います。ただ、低予算だからかなりチープな出来。本作のヘドラより、アクションフィギュアの方がカッコいいです。

低予算をカバーするために様々な工夫もされています。アニメーションを導入したり、サイケデリックな映像を挿入したり。子供向けに振り切った前回と比べて、アヴァンギャルドな感じがします。金がないなら工夫するしかない!みんな貧乏が悪いんだ!😢😢😢

意欲作だとは思うのですが、マニア向けですね。お金がないなりに工夫している部分が見どころかと。しかし、普通の映画ファンにはお勧めできないかなあ。

テーマはいいのですが、怪獣パートをメインとしたためにストーリーの筋がはっきりしていない。キャラクター造形も怪獣ヘドラのキャラははっきりしていますが、それに対するゴジラの立ち位置が明確ではない。だって、今回ゴジラが人類を救う道理はないんですよ。最後に人間に睨みをきかせますが、そもそも人間を救うのはなぜ?映画に必要なテーマ、ストーリー、キャラクター造形がしっかり立っていない。小手先の創意工夫だけ。それが好きな人にはいいのでしょうけど。