さすらいの旅人

ゴジラ対ヘドラのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)
3.4
「水銀、コバルト、カドミウム~♪」の歌が流れる異色ゴジラ映画。
CATV/日本映画専門ch録画視聴。

4Kリマスター版(視聴時は2Kアップロード)の登場である。その映像の美しさは感動物である。
本作は公害の申し子ヘドラと昭和ゴジラの死闘を描いた作品。
特撮監督円谷英二の他界の1年後の作品に当たる。シリーズ11作目である。

この映画には、音楽の変更のため伊福部昭のゴジラのテーマ曲は一切流れない。
また、怪獣ブームが去った後の作品のため、当時の社会問題「公害」という新たなテーマを取り上げており、ゴジラシリーズでは異色の作品である。
当時の風俗である退廃的サイケ調のゴーゴークラブや野外キャンプゴーゴー大会が時代を反映して面白かった。

ヘドラのドロドロ感とスクリーンから異臭がするような造形が素晴らしかった。東宝チャンピオン祭りでの上映のため、85分の上映時間は子供が飽きないギリギリの時間だ。対決場面は時間をかけ丁寧に作っているが、ドラマ部門の流れがズタズタで意味不明な場面があった。おそらく当時、時間の関係で相当カットされたような感じであった。

本作はゴジラが空を飛ぶというゴジラ像を変えてしまった作品としても有名。アメリカあたりでも話題になっていたらしい。監督は故坂野義光で、これが最初で最後の作品となっている。最近の米国版ゴジラ映画では追悼として監督の名前がクレジットされている。
昭和ゴジラシリーズはその後4作で製作が中止され、84年の平成ゴジラシリーズまで9年のお休みとなる。

ゴジラ映画は本当に日本の宝だ。昭和ゴジラについては、後半は完全に子供向けで製作されたが、最近の「シン・ゴジラ」は大人向けのリスク管理政治映画として成功している。ゴジラ映画は今後も姿を変えて私たちを楽しませてくれるだろう。