公開当時に劇場にて。
人が人を殺す場面はいろいろ観てきたが(もちろん映画で。リアルは無い)、殺す側も殺される側も気合い入っているのが普通。武器を構えて「さあ、殺すぞ」何とか殺されまいと抵抗したり、命乞いしたり。
ところがこの映画では、ナチの将校は何の気負いや迷いも無く銃を打つ。囚われたユダヤ人も何の抵抗も許されぬまま打ち殺されてゆく。例え言葉で「虫を殺すように」と言うことがあるが、正に「虫を殺すように」人を殺していく。何とも異様な感じでショックだった。
ヤヌス・カミンスキーのカメラはまるでドキュメンタリー映像のよう。
モノクロの中で、少女のコートが赤いパートカラーなのは黒澤明の「天国と地獄」からの模倣。
