このレビューはネタバレを含みます
吹き替え版で再鑑賞。
第二次世界大戦中のヨーロッパのユダヤ人たちの虐殺の風景を描いた一本。
そこに現れたシンドラーさん。
ドイツ人でナチスでありながら、自身の利益のために、
コストの低いユダヤ人を自社の工場で登用して、
ナチスの上官たちを取り込み、大儲けした人。
映画の始まる前から、詐欺師的な才能があり、
かなり破天荒な部分があったが、
ユダヤ人を雇用していくうちに戦争の異常さの犠牲になるユダヤ人に同情をしていき、利益よりも彼らの命を救うために行動をしてしまうという、
等身大の英雄の物語。
ユダヤに対する残虐っぷりが生々しく、女性男性の全裸は当然、
虐殺風景も容赦なく描く。
特に収容所のボスとして派遣されたゲートさんがかなりの異常者で、
中間管理職として、惨殺を行うわけだが、精神を病んでしまっているのか?
それとも彼自身人を殺すことに快楽を得ているのか?
その複雑な内面にもちゃんと歩み寄り、戦争の異常さをより濃く描いている。
スピルバーグは柔らかくて温かみのある映像を描きながらも急に残酷に描く。
それらが同時に存在する点に、圧倒される。
3時間という超尺ながら、シンドラーのプレイボーイぷりとナチュラルな英雄ぷりがストーリーテラーとして有能で、爽快だが残虐描写もいい感じに大差があり見応えがあって見ていられる。
反戦映画でもあるが、歴史としての価値も高く。
一生に一度観るべき映画だなと改めて思った。
終盤のシンドラーの言葉が泣ける。