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陸軍中野学校のpapandaのレビュー・感想・評価

陸軍中野学校(1966年製作の映画)
3.9
先日東映版の「ルバング島の奇跡 陸軍中野学校」を見てからずっと気になっていた。中野学校創立当初から第一期生卒業までを描く。士官学校を優秀な成績で終えたエリート達が集められてスパイのなるために教育を受ける。加藤大介さんの演じる上官は仕事に熱意を持ち、部下を思いやり、軍への批判も口に出し、とてもいい。そんないい人でもその目的は戦争に勝つこと。大前提にそれがあることが怖い。訓練の内容もおそらくは実際ああだったんだろうなと思わせられる。その訓練の中で次第に情を消していき、自殺者が出たり落ちこぼれた者を集団で粛清したり。これも“教育”の賜物だろうか。
市川雷蔵さんの静かな表情がいい。時にカミソリのような鋭さを見せる目がいい。そして相変わらず立ち姿がきれい。これをニヒルというのだろうか。
雪子の行動は行方不明になった婚約者を何としてでも見つけたいという気持ちから出たもの。それがあんな結果になるなんて切な過ぎる。その時の雷蔵さんは無表情に見えるが、さてその心底は?
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