菩薩

クリスマス・ストーリーの菩薩のレビュー・感想・評価

クリスマス・ストーリー(2008年製作の映画)
4.0
やはりデプレシャンにとっての家族は必ずしもポジティブなものを意味しない。とは言えネガティヴ一辺倒に描かれる訳でもなく、ただただ同じ遺伝子を共有してしまった緩やかなサークル、くらいのやんわりとした空気感が包み込む。この映画の場合その内部に最後まで解決されない軋轢はあるし、今後大きな問題に発展しそうな新たな関係性はあるしと散々な一面がありながらも、血を分けた家族で揺るぎない事実が母親の命を救う事になる、が彼は決して母親を母とは呼ばないし、かつては「追放」の憂き目にあっている。切れた様でも切れていない、切ろうとしても切ることの出来ない家族の絆がもたらすどうしようもない宿命、死は時に唐突に命をさらっていくが、これも一重にクリスマスの魔法と言うやつなのかもしれない。尺ははっきり言って長いが、テーマと良い技法といい、ここまでのデプレシャン全部乗せ感がある。何が面白いか最後まで分からずも、なんか憎めない作品となった。
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