圧迫感が他のサスペンスとは段違い。
楽しい場面はほとんど無くて、あらゆる要因で生理的嫌悪感を与えられる。
ミスリードも鮮やかで、前情報無しで鑑賞したのだけれど、何度か完全に「してやられた」。
死体・虫・暗闇みたいな視覚的なものもあれば、レクター博士との会話やジョディフォスターを見つめる男たちの卑猥な視線とかの、なんか人間の根底に巣食ってるような漠然とした悪意みたいなものまでが、ヒリヒリした空気を醸し出すための要因として機能させられてると感じた。
で、この陰鬱さを作り出してるのは、やはり犯人よりもレクター博士の存在が大きい。
冒頭の面接シーン、仁王立ちで待ってて挨拶交わす姿一発で「はい、ヤバい奴」と脳が身構える嫌な存在感。
暴力を行使してるときよりも会話してるときの方が狂気じみてる人が真の変態。