まず今ほどジェンダーやフェミニズム論が盛んでない時代に、これほど奇妙な形で問題を描いているのはすごい。
何かがどんでん返されるようなスリルではなく、ただ不気味なサイコパスを始終感じる作品。きっかけは生きるなかで抱えてしまったトラウマ、それを自分の中で乗り越えるか、周りを害して発散するか、主人公と殺人犯で大きく異なる道が印象的。
そしてレクター博士の存在。
彼はトラウマというよりサイコパスとして描かれていると思う。普通ではないことを、普通の人たちはどう受け止めるのだろう、どう向き合っていくのだろう。