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羊たちの沈黙のharu3uのレビュー・感想・評価

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
5.0
若い女性を殺して生皮を剥がす連続殺人鬼バッファロー・ビルの心理を探るべく、精神科医ハンニバル・レクターの下へ派遣されたFBI訓練生のクラリス。博士は情報を与える見返りに、彼女に自身の過去を話すよう要求する。

ジョディ・フォスターの硬質な美しさは、真面目でひたむきなクラリスという役柄にぴったり。そして映画史に残る名悪役、レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの怪演っぷり!高貴にしていかがわしい男と等身大の真っすぐな正義感が対峙するという構造に、芸術性とグロテスク、知性と狂気の対比の鮮烈さに眩暈がします。
レクター博士とクラリスの心理戦に始まり、博士の逃走場面、暗闇の中クラリスに迫る連続殺人鬼に至るまで。緊張感と恐怖の連続に冷や汗が止まりませんでした。

ラスト、「小羊の悲鳴は止んだかな」と問うレクター博士。殺された子羊はクラリスの記憶の中で悲鳴を上げ続け、喪失感と後悔を癒すため、彼女は子羊を救うことに固執せざるを得ません。そんなクラリスの危うさすら掌で転がし、結局全ては博士の思いのまま。
何度観ても色褪せない、密度の濃い一級品のサスペンスです。
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