haru3uさんの映画レビュー・感想・評価

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西湖畔(せいこはん)に生きる(2023年製作の映画)

4.0

そのほとりには 天上が在り 地獄が在る-
お釈迦様の弟子が地獄に落ちた母を救う『目蓮救母』をモチーフとした、現代中国の神話。

自己啓発が組み込まれたマルチ商法は新興宗教のよう。
茶摘みで一人息子を育
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猫と私と、もう1人のネコ(2024年製作の映画)

4.0

コンクールのこと、進路のこと、両親のこと、介護のこと、野良猫のこと。
ぜんぶ抱え込んでしまう、我慢強くて優しい少女:櫻。ポロポロ涙を零しながら、いつも精一杯自分に出来ることを探す姿勢が健気で。応援せず
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ジョイランド わたしの願い(2022年製作の映画)

4.0

旧態依然とした家族観が根強いパキスタンのラナ家では、失業中の次男が家事育児を担い、妻が外で働いて家計を支えていた。漸く決まった夫の仕事(バックダンサー)の世間体が悪くても、下手な踊りを笑って応援し合う>>続きを読む

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「ムーミン」シリーズの作者:トーベ・ヤンソンの型破りな半生を描く。

第二次世界大戦後、爆風で窓が吹き飛んだアトリエで暮らし始めるトーベ。
思い返せばムーミン谷もメルヘンな世界観の割に、彗星が掠めたり
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劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(2010年製作の映画)

3.5

のんびりメルヘンなムーミン谷に迫り来る、世界の終わり。真っ赤な彗星の尾がキラキラ残酷に燃える。主題歌もまさかのビョークで不穏だ。。
助かる手立ては何も見つからないけれど、のんきな珍道中に、愛しの我が家
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侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

4.0

現代の時代劇撮影所にタイムスリップした幕末の武士が、“斬られ役”の道を志す。
小規模な自主制作映画と聞いていましたがなんの、シネコン上映に相応しい超王道エンタメ作品でした。楽しかったー!!

会津訛り
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ヒットマン(2023年製作の映画)

3.5

警察のおとり捜査に協力するため、依頼者好みの殺し屋に変装するGパウエルの七変化が楽しいクライムコメディ。”やや”本当の話と断りがあるものの、モデルとなった実在する人物の扱いが大胆で心配になる。。
ご都
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

3.0

「日本は少子化と貧困で終わっていくので、今後の目標は“生存”です。」
20歳前後の自分の生態を定点カメラで眺めたら、自己中で打算的で、カナと大差ない嫌な奴だろうと思う。
カナはいつもお腹が空いている。
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フォールガイ(2024年製作の映画)

4.5

スタント出身のDリーチ監督が、映画製作の影の立役者“スタントダブル”へ熱いエールを送る。

ギネス更新の車が8回半回転するカースタント等(これまでの最高記録は「007 カジノ・ロワイヤル」の7回転だそ
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デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

3.5

混ぜるな危険! 無責任(のふりして正義漢)な赤と、粗暴(なようで面倒見のいい)黄の化学反応が楽しい。長年中の人たちのじゃれ合いを微笑ましく見てきたので、その延長線上ってかんじ。
メインストーリーがおざ
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ルックバック(2024年製作の映画)

4.0

藤本タツキさんの漫画は本作と「さよなら絵梨」と持っていて、画面構成や言葉でなく絵で語るところがすごく映画的だと感じます。きっと、そのままスクリーンに持ってきても格好いい。
原作に忠実な映像化ですが、エ
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マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.0

映像作家のディーンは引越し先で、体長2.5cmのおしゃべりな貝:マルセルと出会う。
初見時は、一つ目の貝ってまた奇妙なキャラクター造形だなと思ったけれど。ディーンが回すカメラ(観客)に、屈託なく語りか
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セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

3.5

トライアスロンの世界大会が開催されるパリでは、会場となるセーヌ川の水質浄化や、川底の不発弾撤去に追われていた。そんなセーヌ川に、巨大サメが出現するも...

大会開催を強行しようと躍起になる行政に、コ
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アダムス・ファミリー(1991年製作の映画)

3.5

不気味な洋館に暮らすアダムス・ファミリーに、一家の財産を狙って、行方不明の兄になりすました男が送り込まれる。

ホラーだけど可笑しくて、予想外にハートフルな物語でした。兄弟息ぴったりのダンス:マムーシ
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チャーリー(2022年製作の映画)

3.5

余命宣告を受けた愛犬に本物の雪を見せようと、南インドからヒマラヤを目指す。
突然家族を亡くし心を閉ざしてしまった主人公が、愛する者との死別に真正面から向き合った旅を追う。


犬に人間の食べ物をあげ
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アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

3.5

戦後ドイツを代表する芸術家:アンゼルム・キーファーのアートドキュメンタリー。

2Dでも堪能できたけど、3D&6Kで観たかったなあ。段違いの没入感でしょうね。
歴史・神話等のモチーフも作品それ自体も、
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.0

頑固で皮肉屋な教師、クリスマス休暇に帰省できない生徒、ベトナム戦争で一人息子を亡くしたばかりの料理長。
それぞれに事情を抱えた3人が、寄宿学校で2週間の冬休みを共に過ごすことに。


互いの心に横たわ
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あんのこと(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ろくに学校に通えず母親に売春を強いられ、薬物中毒に陥った少女。希望はおろか絶望すら知らなかったが彼女が、どうか前を向けますようにと。
“あんのこと”を知ったら、きっと誰もが他人事ではいられなくなる。河
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関心領域(2023年製作の映画)

4.0

アウシュビッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む、収容所の所長とその家族の“平穏な”暮らしを描く。

定点観測的なカメラが壁の向こう側を直接映すことはないけれど、日常について回る不協和音、遠くに聞こえ
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.0

荒廃した地球最後の楽園から連れ去られた少女が、復讐のためサバイブする。

映画館のシートを震わすエンジン音に、前作の興奮が甦ります。
全編クライマックスのあの熱狂と比べてしまうと勢いに欠けるも、誰もが
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

5.0

9年前(!?)は映画を観たというよりも、爆音ライブを体感したかのような衝撃に、度肝を抜かれたことだけ覚えています。
「フュリオサ」予習のため改めて鑑賞したところ、とっても面白かった...!!

リア
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ニモーナ(2023年製作の映画)

4.0

女王殺しの濡れ衣を着せられた騎士:バリスターと、さまざまな生き物に自在に姿を変えるニモーナ。
世間から弾かれた者同士の、凸凹バディ・ムービー。


普通(少女の姿)でいてくれないか。その方が君にとって
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

変声期に悩む合唱部部長の岡聡実は、ある日唐突に、ヤクザの成田狂児に歌のレッスンを頼まれる。

和山やま原作の独特な間合いの可笑しみを再現するのは難しそうですが、いい塩梅のゆるさ◎
子供相手だと終始穏や
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シティーハンター(2024年製作の映画)

4.0

「シティーハンター」関連作は、セクハラ&下ネタ満載の笑いが寒いというか、“そういう時代だったから”で受け流すのは私にはまだ生々しく感じてしまって。。Not for meかなあって、これまで距離を取って>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

不穏な予感を掻き立てる音楽をBGMに、山の自然の美しさに浸る冒頭。ドキュメンタリーのように都会と田舎の対立を映し出す、グランピング施設建設のための住民説明会。
そして、(本業が役者でないのもあってか)
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

海外移住のため12歳で離ればなれになったノラとヘソンは、24歳で一度すれ違って、36歳。
24年の時を経てNYで再会する。

決着が付かぬままの初恋は、打算もあった現実より甘美に映る。メロドラマ展開に
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

原子爆弾の開発に成功し“原爆の父”と称された米物理学者:ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。

原爆がもたらす被害への想像力は日本と他では大きく違うだろうけれど、トリニティ実験から予想以上に心揺さぶ
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成功したオタク(2021年製作の映画)

3.5

あるK-POP歌手の熱狂的ファンだったオ・セヨン監督は、推しから認知され番組共演も果たした"成功したオタク"だった。
推しが性加害で逮捕されるまでは。

応援してきた自分の人生ごと否定された気持ちにな
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プリシラ(2023年製作の映画)

4.0

エルヴィス・プレスリーに見初められた14歳の少女プリシラ。
誰もが羨むヒロインが、世界的スターの邸宅に囚われた日々の中で大人になり、そして別れを決断するまで。


二人の年齢差は10歳。プリシラには
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

5.0

アトレイデス家の生き残りの王子が、砂漠の民フレメンと蜂起する。

久々にIMAXシアターへ。大画面いっぱい目前に襲い来るサンドワームや、焼け付くホワイトが異様なあの闘技場シークエンスがフルサイズだった
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.5

救急救命士のキャシーは、偶然出会った三人の少女が殺される未来を見てしまう。彼女たちを助けるため、図らずも謎の男に追われるはめに。あらゆる未来の可能性を見る“マダム・ウェブ”誕生の物語。

それぞれ訳あ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

人里離れた雪の山荘で、視覚障害のある少年が父親の不審死を発見する。転落事故か投身自殺か、それとも妻による殺人か。
幸せな家族像にメスが入れられ、夫婦の秘密や嘘が暴かれていく。

ほぼ状況証拠のみでそも
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ロリータ(1962年製作の映画)

3.0

「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋を三歩下がって、三歩めにそっと歯を叩く。ロ。リー。タ。」

ロリコンの語源と聞いて挑むと拍子抜けします。全然お上品です。
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.0

17世紀の朝鮮王朝。王子の怪死の真実を暴くため、盲目の鍼灸師が暗闇を奔走する。

設定上どうしても暗いシーンが続くので、劇場鑑賞がおすすめ。
先端恐怖症でなくても身がすくむポスターだけど、この、暗殺現
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カラーパープル(2023年製作の映画)

4.0

虐げられてきた黒人女性たちの解放を、高らかに歌い上げるアンセム。
主人公セリーの悲惨な境遇を描く前半は、ミュージカルパートで息継ぎしつつ何とか乗り切りました。性的虐待による出産、生まれてすぐ赤ちゃんは
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.0

オンライン試写にて。
異色のダークヒーロー“DOG MAN”は、犬たちと共に世界の不条理に抗い、夜毎ドレスを身に纏っては愛の哀しみを歌う。

ケイレブ・ラドリー・ジョーンズの色気ある品の良さと、垣間見
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